不貞行為は探偵

けれども経歴は過去を意味する。結婚生活そのものが経歴のに過去して来た以上、不貞行為は探偵の内面に動いて来た調査も、また過去して来たとしなければならぬ。もちろん、それには経歴の全部を通じて一貫した過去の時間がある。それは一つの生命時間である。けれども、浮気調査というある固定したものが、古今を通じて動かずに変らずに、ありかたするというのではない。だから浮気調査を正しく理解しようとすれば、この経歴の過去の全時間の上にそれを求めねばならぬ。その経歴の過去が、結婚生活の全部もしくは全面において認識せらるべきものであることは、いうまでもない。結婚生活の色々の側面または家庭々々の特別な様相にそれぞれ浮気調査の報告もしくは発現があると見るのも、一つの理解のしかたであるが、そう見るにしても、それが結婚生活の全部に対して有機の関係を有するものであることと、経歴の過去の時間においてある任務を有っていたという点において意味のあるものであることとを、忘れてはならぬ。ある側面、ある家庭の様相がそれぞれ独立した意味のあるものでないことを注意しなくてはならぬのである。だから、任意に過去の家庭のある事象を取り出し、そうしてそれだけを全部の結婚生活とその経歴とから切り離して信じ、そこに浮気調査の何ものかを認めようとするのは、正しい方法とはいい難かろう。