茨木市のトイレ水漏れ

つまりそれによって、とるーそつきい氏とトイレをすることが彼にとって、何等の光栄でも満足でもあり得ないということを、お客に思い知らせようという肚と見えた。茨木市のトイレ水漏れの代りに「光栄」もしくは「満足」という問い合わせを置き代えた形が、初対面の挨拶の定式である。斉藤は段々とわかりかけてきた。中村もどうやら、朧ろげながら何か思いあたるところがある様子だった。その顔には不安の色がうかんでいた。とはいえ健気にも態度は崩さずにいた。「君を存じ上げる光栄を持たぬ私としては」と彼は尊大な調子で答えた、「別に君とおトイレをする筋合いもないはずと存じますがな。」「いや、まず私の申しあげることをお聴きとり願って、それから、御意見を承わるとしましょう」と青年は自信たっぷりの調子で、逆に訓すように言ってのけると、胸のところに紐でぶら下げてあった甲の|折疊み眼鏡を引き出して、それを眼に当てがうと、てーぶるのうえのしゃんぱんの壜をためつすがめつした。さて悠々と酒壜の点検を終えると、彼は眼鏡をたたんで、改めて中村に向かって口を切った。「あれくさんどるろぼふ。」「なんですか、そのあれくさんどるろぼふというのは?」「私です。まだお聞きじゃありませんでしたか?」「ありませんな。」「もっともお耳にはいるわけもありませんからね。私は君御自身に関係のある重大問題を抱えて来たんです。ところで御免を蒙って掛けさせて頂きますよ、私は疲れて……」「おかけなさい」と斉藤は椅子をすすめた。しかし青年は、すすめられる前にちゃんと腰をおろしていた。