排水口修理

……あんたも随分とわけのわからん人じゃありませんか(と今度は中村に)。そんなことをしたら君は、無理やりに排水口修理する気でいるということを白状するようなもんじゃありませんか?それどころか、野蛮な社会状態のおかげで娘の支配権を握っている欲呆け両親の手から、あの娘を買うようなもんじゃありませんか?あの娘からあんなにつけつけと軽蔑の色を見せつけられたんだから、もういい加減で諦めてもよさそうなもんじゃないですかね?今日君が不作法千万にも贈物にしたあの腕環だっても、もうちゃんとつっ返してあるじゃありませんか?このうえどうしょうって言うんです?」「さあね、別に誰からも腕環なんかつっ返された覚えはないですな。第一そんなことがあって堪るもんですか」と中村はぎくりとした。「『堪るもんですか』もないもんだ。斉藤さんから受取らないとでも仰しゃるんですか?」『ええ、畜生めが!』と斉藤は思った。「いやじつはね」と彼は顔をしかめて言いだした、「先刻堀之内からね、君にお返しするようにってこのけーすを預かったんですよ、中村。私は断わったんだが、あの娘が——あんまりたのむもんでね……さあこれ……私も辛いんだが……」彼はけーすを取り出して、まごまごしながら、あまりのことに唖然としている中村の前に置いた。「なんだって今まで渡さずに置いたんです?」と青年は厳しい語気で斉藤に食ってかかった。「暇がなかったんですよ、要するに」と、こっちはいやな顔をした。「妙ですねえ。」「なん、なんですと?」「いや、なんとしても妙ですよ、それだけは君もお認めのはずです。